先週entranceで運営させていただいた浜松市の宿泊型インターンシップ【遠州のトビラ】について、9/28(土)中日新聞さんで掲載していただきました。
■repost HUIS
新聞記事に写っているのは、HUISの生地もずっと染めていただいている「浜名染色」の尾上敦さんです。
紹介されている「液流染色機」は昔ながらの貴重な機械で、川で泳ぐようにゆっくりと生地を染め上げることから、遠州織物ならではのふっくら風合いのある豊かな生地に染め上げることができます。
現代の生地の多くは、ローラー式で高速に染める「連続染色機」で染められているため、風合い豊かな生地に染め上げられる「液流染色機」を持つ浜名染色さんのような染工場さんはとても貴重です。ただ、技術を要するため後継者づくりが必須になります。
その他、機屋さん2軒、注染ぞめ工場さん1軒、産元さん1軒、糊付け工場さん1軒でインターンシップを受け入れていただき、とても内容の濃い4日間を参加者の皆さん過ごしていただきました。
HUISスタッフも4日間を通して各工場をまわりインターンシップのお手伝いをさせていただきましたが、とにかく興味津々で代わる代わる工場に来てくれる若いみなさんを、職人の皆さんは嬉しそうに対応してくださっていました。
プログラム最終日の夜は、entranceで定期開催している『遠州さんちの未来会議』にも一緒に参加していただきました。
こちらの新聞記事にもあるように、60年前に1300軒だった機屋さんも現在40軒ほど。農業などと違い、繊維業は一度無くなった工場が復活することは2度とありません。
今回受入をしてくれた事業者さんもB to Bではいずれも世界的に評価されていて、常に受け切れないくらいの仕事を抱えていますが、アパレル流通の特殊な事情の中で、そのことは地元ですら消費者へ徹底的に隠されてきました。
ある機屋さんは生地の納期が1年半待ちで、誰もが知るメゾンブランドが生地を使わせて欲しいと訪れても、忙しくて織れないと断っている状況です。それほどの技術と需要のある機屋さんなのに後継者がいない。
【遠州のトビラ】は、そんな現状を赤裸々に聞くことができる機会でもあります。
今回、参加いただいた方の中にはすでに移住・就職を決められた方もいます。
毎年、丁寧に続けていくことで、産地を救い得る事業になると思っています。
中日新聞さんとは別に、産経新聞さんは東京本社から泊まり込みで取材に来ていただき、未来会議の懇親会まで取材してくれていました。こちらは全国誌で、後日掲載していただけるそうです。
こうしたひとつひとつの発信の積み重ねが、大きな力になっていくと思っています。